「パソコンを新調しようと思ったら、思ったより高い…」 「SSDやメモリの値段が数ヶ月前より上がっている気がする…」
最近、そんなふうに感じたことはありませんか? 実は今、世界的に**「メモリ(半導体メモリ)」の価格が高騰**しています。
ニュースで「半導体不足」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、今の状況は少し事情が違います。なぜ私たちの財布を直撃するような値上がりが起きているのか、専門知識がなくてもわかるように、3つのポイントで解説します。
メモリってそもそも何?(超・基本編)
理由を話す前に、少しだけ「メモリ」についておさらいしましょう。 パソコンやスマホの中には、大きく分けて2種類のメモリが入っています。
- 作業机(DRAM): データを開いて作業する場所。広いほどサクサク動く。
- 本棚(NANDフラッシュ): データを保存しておく場所(SSDなど)。大きいほどたくさん保存できる。
現在、この「作業机」と「本棚」の両方の値段が上がっているのです。
なぜ高くなっているの? 3つの大きな理由
「野菜が不作だと値段が上がる」のと同じで、メモリも「需要(欲しい人)」と「供給(作る量)」のバランスで価格が決まります。 今の高騰には、大きく分けて3つの原因があります。
1. メーカーが「作る量」を減らしたから
これが一番大きな理由です。 実は少し前(2023年頃まで)、メモリは作りすぎで余っていました。
- 以前の状況:
- コロナ禍でパソコンが爆発的に売れたので、メーカーはたくさんメモリを作りました。
- しかし、ブームが去ってパソコンが売れなくなると、メモリが大量に余ってしまいました。
- 在庫処分セールのように、価格が暴落しました。
- 今の状況:
- 「これ以上安く売ると赤字になる!」と焦ったメーカー(サムスンやSKハイニックスなど)が、「生産調整(減産)」を行いました。
- わざと作る量を減らすことで、市場に出回る数を絞り、価格を引き上げたのです。

2. 「AI」がメモリを大量に食べているから
最近話題の「生成AI(ChatGPTなど)」をご存じですか? 実は、あの賢いAIを動かすためには、超高性能で巨大なメモリが必要です。
- AI用のサーバー(巨大なコンピュータ)を作るために、世界中の企業(GoogleやMicrosoftなど)がメモリを買い占めています。
- メーカーも、普通のパソコン用メモリより、高く売れる「AI用メモリ」を優先して作るようになりました。
- その結果、私たちが使う普通のパソコン用メモリの生産が後回しになり、品薄になって価格が上がっています。
3. 日本特有の事情「円安」
これは日本に住んでいる私たちにとって辛い現実です。 メモリは基本的に海外(韓国やアメリカ、台湾など)で作られ、輸入されています。
- 円安の影響:
- 海外での価格が同じでも、日本円の価値が下がっているため、輸入するときに支払う金額が増えてしまいます。
- 「世界的な値上がり」×「円安」のダブルパンチで、日本の店頭価格はさらに高くなっているのです。
私たちの生活への影響は?
この高騰は、具体的にどのような形で私たちに影響するのでしょうか。
- パソコン・スマホの価格上昇: 新発売のPCやスマートフォンの本体価格が上がります。特に容量が大きいモデルほど高くなります。
- SSDやSDカードの値上げ: データを保存する外付けSSDや、カメラに使うSDカードの値段もジワジワ上がっています。
まとめ:今買うべき?待つべき?
残念ながら、専門家の多くは「まだしばらくは高値が続く(あるいはもっと上がる)」と予想しています。AIブームが続く限り、メモリの取り合いは終わらないからです。
- どうしても必要なら: これ以上上がる前に、早めに購入するのが安全かもしれません。
- 急いでいないなら: 次の価格変動の波(1〜2年後など)を待つのも手ですが、いつ下がるかは誰にもわかりません。
「なんで高いの!?」とイライラしてしまうかもしれませんが、「世界中でAIが進化しているからなんだな」と考えると、少しだけ納得できるかもしれませんね。

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